日本に住んでいると、物価高や円安の影響で「自分たちはどんどん貧しくなっている」と感じることも多くなりました。
外国人観光客が安い日本を訪れてすごい消費をしている様子を見ると、豊かな国とはとても思えません。
政治の混乱や経済の先行き不透明感も加わり、将来に悲観的になりがちです。
しかし、海外から見ると、日本の状況は意外なほどポジティブに映っています。2024年における日本の富裕層人口は世界第2位で、イギリスやドイツよりも富裕層が増えているというのです。
今日はこうした海外からの目線でいまの日本の富裕層を綴ります。
富裕層数世界第2位のレポート
このデータは、欧州の大手コンサルティング会社キャップジェミニが発行した『World Wealth Report 2025』によるものです。
Yahooニュースなどでも報じられているのでご存じの方もいるかもしれません。
資産100万ドル以上の世界の富裕層、過去最高の2340万人に 日本は399万人で2位
ここでの「富裕層(HNWI)」とは、居住用不動産、コレクションや消費財などを除いた「投資可能資産」が100万ドル(約1億4500万円)以上の個人を指します。
居住用不動産を含めないため、都心の一等地に自宅を持つだけでは富裕層とは判定されません。
つまり資産の中身は純金融資産に近く、実質的な投資資産の状況を示しています。なお、定義は同社の報道発表原文の注釈に記述されています。
North America high-net-worth individual population surges, while Europe and Middle East shrink
各国の富裕層の状況
2024年の富裕層人口は世界で過去最高の約2,340万人に達しました。国別では以下のような傾向があります。
-
アメリカ:799万人で最多。株式市場の好調やAI関連の投資拡大が背景。
-
日本:399万人で世界2位。イギリスやドイツを上回る増加率を記録。
-
ドイツ:中国:経済の減速や不動産価格の下落、政治不安により富裕層は減少傾向。
-
南米・中東:経済不安定や原油価格の下落で減少。
日本は、株価の上昇トレンドや円安による海外投資家の流入が追い風となり、世界から「魅力的な投資先」と評価されています。
日本の富裕層増加が示す意味
日本で富裕層が増え続けているのは、FIRE(経済的自立・早期リタイア)を目指す人にとって希望の兆しです。富裕層は人口の約3%を超え、決して一握りの特権階級ではありません。
他国に比べれば、今の日本は堅実な資産形成や投資の文化が根付いていることを示しており、経済的自立の可能性が着実に広がっています。
終わりに
「日本はもうダメだ」と悲観に陥りやすいのですが、世界情勢を冷静に見れば、実は日本は「静かなる豊かさ」を持つ国だと思います。紛争や暴動もなく、言論統制もなく、文字も読めないホームレスがあちこちで寝ている極度な貧困層もいない、そんなマイルドさは日本の魅力です。
だからこそ、課題もあります。
海外諸国の一部の人は、こうした日本の制度が「おいしい」ことを知っているので、日本で安く治療したり医薬品を手に入れたり、土地や不動産を買いあさったり、こうした「安くて豊かで安全」の隙間に入り込んでいる、そうした問題も無視できません。
これも皮肉にも「投資先としての日本の魅力」ゆえの副作用と言えます。
ただ、自分たちの税金や日本の土地財産が荒らされるのは感情的には嫌なもので、これは政治に任すしかありません(まあ、それも不安ですが)。
個人としては、世界からの評価に目を向けて淡々と自身の資産形成にプラスになる投資判断をするしかありません。
↓