FIREを目指すうえで「FIRE資産の出口戦略」を意識することが大事だと思っています。
それは出口に向けて大きく2つのスタイルがあって「資産取崩し型」と「資産額維持型」です。
*正式な名称があるのか存じませんので一旦この通り命名します。
前者の「資産取崩し型」は、必要資産(FIRE所要額)を積立投資などで蓄積し、リタイア時点から定期的に取り崩してリタイア生活していく方法です。
後者の「資産額維持型(*)」は、配当金等の資産所得や不労所得等だけで(=資産運用の元本は手を付けず)リタイア生活をしていく方法です。
*資産額維持といっても「資産の時価評価が高くなって資産額を維持できた」という評価上の変動は考慮(期待)せず、あくまで生活費の支出キャッシュ分を配当金等の資産収入キャッシュで補って「現預金元本を取り崩していない」という意味で使っています。
今日はこのFIREの2つの実行方法について考察します。
資産取崩し型
資産取崩し型は、年金等で不足するリタイア後の生活費を投資信託等で貯蓄したお金(例えば2000万円)を一定のタイミングで取り崩しをして補完する方法です。
そのために投資信託で取崩しサービスを予め設定するなどし、以降、決まったタイミング(多くは毎月)で自動的に現金化していきます。
設定さえすれば相場を気にせずに淡々と取り崩すことになるので、手間もかからず心理的に楽です。
なにより資産運用を継続しながら少しずつ保有資産を売却することになるので、全解約をして取り崩すより資産寿命を長くできます。
例えば2000万円を55歳から毎月8万円ずつ取り崩すと資金は75歳10か月で尽きてしまいますが、たとえば年率3%で運用しながら毎月8万円ずつ取り崩せば87歳10か月まで資産寿命を延ばせます。(以下の通りのシュミレーション)
野村アセットマネジメントのサイトでの「資産取り崩しシュミレーション」で試算結果
(ソース:https://needs-hearing.jp/reversal)一般には定額より定率で取り崩すと受け取る金額が安定しないというデメリットはあるものの、基準価額が高い時には多く、低い時には少なく取り崩すことになるので、時間的な分散効果を得られます。
資産額維持型
資産額維持型は、年金等で不足するリタイア後の生活費を、保有資産から得られる配当金等で賄うものです。
つまりは「(生活費)≦(資産所得)」を目指すものです。
例えば2000万円を年率5%で運用できれば年間100万円(毎月約8万円少し)を使えます。
資産取崩し型も2000万円を年率5%で運用できれば年100万円(=月8万円up)と、前述の「資産取崩し型」で毎月8万円づつ取り崩したのとほぼ同じですが、資産に手を付けずにいられます。
よって資産は減らない(*)ことになります。
*資産の時価評価が高くなった結果として横ばいであるケースは考えず、あくまで生活費の支出キャッシュ分を配当金等の資産収入キャッシュで補う意味で使っています。
ただ、高い利回りを得るためのリスクテイクが必要ですし、現実には個別株の配当金などは投資先の会社の業績が悪くなると配当率が悪くなったり、不動産賃料だって空室によって賃料が入らないなどもあるので容易ではありません。
ある程度、年金を確保し、その不足分を低リスクの配当所得等で補うほうが現実的で、そうなると2000万円では少なく、それ相当の原資が必要にはなります。
2つのスタイルが生み出す違い
この2つの出口戦略(取崩し型vs資産額維持型)のアプローチの違いを意識し試算するなかで、どういったFIRE出口戦略が自分に適するかもはっきりすると思います。
リスク・スキル面
どちらも、資産運用をする以上、何らかのリスクを考慮することは必要で、前者の合は「資産取崩し型」では「人生においてFIRE破産が無いこと」となり、それだけ取崩しのスキルで資産延命策を取ることが求められます。
そして後者の「資産額維持型」では、そもそもFIRE必要額をより多めに準備していくスキル、資金に手を付けないように高配当を得られるようポートフォリオを組む投資運用スキルが必要です。
お金の向き合い方
また、そもそも家族構成や家族関係も大きな影響要因ですが、自分の人生で稼いだお金をどう使っていくか(残していくか)といった人生観でありお金の向き合い方の違いもあります。
取り崩し型では、出口で資産を残すことは重視せず、自分の人生を豊かにするために「いかに増やしたお金を延命しながら使っていくか」に集中できます。
資産額維持型では、出口で資産を残していくことを重視しながらも、自分の人生でどうお金を使っていきたいかのバランスも求めます。
以上のFIRE資産の活用方法(出口戦略)をリスク・スキルや、お金の向き合い方から考えると、どちらが環境的・経済的・心理的に自分のFIREアプローチに合うか、自分の目指すべき生き方かなど、見えてくると思います。
終わりに
以上、FIRE資産の出口戦略として2つのスタイルを綴りました。
なお、僕が目指してきたのはこの「資産額維持型」です。
資産額がずっと横ばいで維持していければ良いのですが、そんな資産が減らないようにと「やりたいことを我慢してやらずじまい」な人生になっては本末転倒だと思っています。
なのでFIREから2年、いまだに「楽しく豊かに過ごせる理想的なお金の使い方が何か」はまだしっかり見極めようとしていて、そんな「有意義な支出」を固めることが第一優先です。
その結果として、支出を資産所得で賄える(資産を維持できる)なら良いですし、それが無理なら一定額を取り崩していくスタイルで定率取り崩しを組み込むつもりで、そんな両者の間での落としどころを探る日々でもあります。
という意味では、FIREをしないと本当の正解にはたどり着けない面もあり、ある程度の出口戦略の前提や準備に確信を持てたら、遅すぎないタイミングでFIRE生活を実践する勇気も、大事なんだと思います。
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